自転車で『右側通行』をしている皆様へ

この記事は、BOOKMARKS『60歳からの青春』2013年12月7日の記事です。

趣味と健康の為、毎月400km以上自転車で走っている。自転車で走ってて一番怖いのが、右側を走って(逆走)くる自転車。その次に怖いのが、ヒヤッとするぐらいぎりぎりを追い抜く自動車だ。



自転車で『右側通行』をしている皆様、自転車は道路交通法で『左側通行』ってことをご存知ですか?もう少し詳しく言えば、自転車は軽車両(自動車と同じ車両の仲間)だから、車道を走らないといけません。歩道で自転車の標識があるところは、特別に『自転車も走ってよいですよ』と言う意味です。自転車の標識があるからと言って、ベルを鳴らし我が物顔で走ってはいけません。歩道で歩行者とぶつかって怪我をさせたら、大変なことになりますよ。歩道はあくまでも、歩行者の為の道路です。

もう一つ、路側帯のある道路では、自転車は右側でも左側でも走行できましたが、『改正道路交通法』が2013年6月14日に公布され、12月1日から路側帯も左側通行のみとなりました。

自転車で『右側通行』をしている皆様、なぜあなたは右側を走るのですか?おそらく車が走っている道路で右側を走ると、前から迫ってくる自動車が良く見えるし、相手もよく見えるだろうと思っていませんか?『相手からもよく見えるだろう』と言う思いは、自分にとって都合の良い、相手の善意に期待している考えです。自動車の運転手さんは、そんなにあなたを見てはいません。日本人らしく、相手を安易に信用してはいけません。『向こうが気づいて、避けてくれるだろう』なんて、とんでもない思い違いです。あなたの安心感・信頼感が、一番危険なのです。『自分の身は、自分で守る』のが、自転車で交通事故に合わない鉄則です。

自転車で『右側通行』をしている皆様、何故自転車は左側通行かご存知ですか?そんなこと無いよ、どっちを走っても良いはずだ・・・と思っている方は、高知県警の『キッズプラザ 土佐の高知のしばてん君の交通安全教室 自転車の乗り方編』をご覧ください。2番の箱をクリックです。私がスポーツ少年団の指導者をしていた頃、団員の自転車安全教室の教材に使ってたホームページです。とってもわかりやすく紹介されていますので、ぜひご覧くださいませ。

自転車は車両の仲間だから、車と同じく左側通行しなさい・・・と杓子定規に言っているのではありません。それなりにちゃんとした科学的な理由があります。

理由その1:

自動車の運転手さんが前を走っている自転車を発見した時、発見してから自転車とすれ違う又は追い越すまでの時間を考えてください。左側通行で同じ方向に走っていたら、双方の速度の差で近づきます。車が時速50kmで自転車が時速15kmだったら、引き算をして時速35kmで接近して追い抜きます。次に自転車が逆走して正面から走ってきた場合、双方の速度の差ではなく合計で接近して通過します。すなわち時速65kmで接近してしまいます。この時速35kmで接近するのか時速65kmで接近するかで、自転車と自動車が通過又は追い越すまでの時間は、右側を逆走した場合1/2ぐらいになります。と言うことは、あっという間に近づくんです。運転手さんがよそ見をしていたら、気が付いたら目の前に自転車がいた・・・、てなことになります。ね!、危ないでしょ!

理由その2:

不幸にして。自転車と自動車がぶつかった時のことを考えてみましょう。ぶつかった時の力を計算するのはちょっと複雑で、ぶつかってからグシャッと潰れて完全に止まるまでの時間が分からないと計算できません。硬い者同士がぶつかったら時間は短くなって力は大きくなるし、柔らかい者同士だったら時間は長くなって力は小さくなります。但し、長くなると言っても1秒以下での話です。時速65kmでぶつかった場合と時速35kmでぶつかった場合は、力の差は2倍程度か・・・とは思わないでください。3~4倍になります。骨折で済むか天国に行くかぐらいの差になります。

これまでを読まれて、『そうだったのか・・・』と思われた方は、次から左側通行をしてくださいね。

自動車の立場から考えると、前から走ってくる(逆走)自転車は自動車の運転手の意志とは無関係に、『すれ違わなければならない・・・』ということです。左側を走ってくれれば、追い越すタイミングは運転手が決める事が出来るんです。抜くのが難しければ、自転車のちょっと後ろを自転車と同じスピードで走って、抜ける所で十分間隔を取って安全に追い越せるんです。そういう状況で、自転車に乗っている人は『自動車の邪魔をして申し訳ないなあ・・・』てなことは、まったく考える必要はないのです。左側を走ってくれる方が、自動車の運転手から見てどれだけ助かるかしれません。車両の仲間なんだから、堂々と車道の左側を走ってください。

もう一つだけ、お節介をやかせてもらいます。日本人は農耕民族で、穏やかな性格をしています。相手の善意を、たやすく受け入れてしまいます。相手の善意を、当てにしてしまいます。とっても良いことなんですが、過ぎたるは及ばざるがごとし。



もし、日本の感覚で北京や上海の街中を自転車で走ったら、まず数分で車にひかれていると思います。中国では車の運転手は自転車乗りを見下しているし、自転車乗りは車の運転手を『こいつは、俺を轢こうとしている・・・』と疑ってかかってます。そこに緊張感が生まれます。日本人にはこの緊張感が無い。自転車と自動車の交通事故を減らすためにも、こういうところだけは少し中国人を見習ったほうが良いのかもしれません。但し、路上で罵声を張り上げて喧嘩はいけませんよ!

さあ自転車のみなさん、これから堂々と左側を走りましょう。願わくばヘルメットをかぶってね!もしかすると、貴方の命を守ってくれるかもしれませんよ。

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